■淡い愛と熱い恋 4


永泉が力なく返事したのを最後に、友雅は、ゆっくりと手を動かし始めた。
書庫の厳粛な空気を感じながら、永泉の細い体を床に横たえると、絹の肌着の前をはだけさせて、
すべてがさらけ出されるようにした。いたるところにつけられた赤い跡から、どれだけ中納言に嬲られたかが伺える。
自分でしたことはあるのか?天真とは、どの程度体を重ねたのか?自分は、どこが一番敏感に感じるのか?
いろんなことを永泉に聞いてみたい気持ちがせりあがってくるのを抑えながら、
友雅は、袴の上から、自分の猛り切っているものを触らせた。
永泉の細いからだが、小さく跳ねて、手のひらが逃げようとする。

「や…。」
「…あなたがされたいように、手を動かしてください。そうすれば、あなたも私も、気持ちよくなれるから。」
「ですが…。」

永泉は、友雅のすすめに、堅く言葉を閉ざしてしまった。
熱くて堅くて、天真のそれよりもまだ大きいものは、
全く刺激が訪れないのに不満を持ったのか、少し質量が落ちている。

「では、私に、相手を気持ち良くさせる方法を教えてください。いつか、天真殿に満足して欲しいのです。
私の指や舌や腰が、上手に動かせるように、ご指導していただけますか?」

自分が何を口にしているのか、しっかりと意識にあるらしく、友雅と視線を交わらせないように、
自分の心の内を打ち明けた。内気で消極的で、自分の意見を押し殺しがちな永泉にとっては、
一生のうちに有るか無いかのことだったかもしれない。そんな永泉の申し出に答えようと、
友雅は、言葉で答える代わりに、一度立ち上がって、纏っている衣や袴をすべて放り投げて、一糸纏わぬ姿になった。
天真よりもがっちりとした肩幅、自分なんか比べ物にならない筋肉は、
友雅が武官であることを再確認させられる。
それより何より、永泉が釘付けになってしまったものは、雄雄しく頭を持ち上げている、友雅の中心部分だった。
今まで見てきたほかのどの男の所有物よりも立派で、雄雄しくて堂々としているが、
吐き気などは全く起こってこない。むしろ、芸術品に近いものに惹かれてしまって、
もっと見ておきたい、そんな気持ちに駆られてしまうほどだった。
永泉が、無意識のうちに凝視してしまっているのに小さく微笑んだ友雅は、そっと、永泉の前に腰を下ろした。

「そんなに、私のこれが気に入ってしまわれましたか?」
「あ…っ。」
「怖がらないで…。あなたが、絶頂を恐れておられるのは、百も承知です。
が、そのままのほうが、苦しいことも良くわかっています。
人の手が怖いのなら、ご自分でなさい。私が、傍らでお手本をお見せしますから、ご自分のを同じように愛撫なさい。」
「…わかりました。」

友雅は、書庫の壁に背中を預けると、自分のを手中に収めて、勢いよく扱き始めた
。永泉も、懸命に自分のを扱き立てていくが、いつも、天真がしてくれるように気持ちよくなれない。
当の友雅は、甘いと息や喘ぎをもらしたり、腰をくねらせたりしながら、少しずつ自分のを開放へと導いていく。

「…友雅殿、うまく出来ません。」
少しすねたように、永泉が訪ねた。絶頂へのことで頭がいっぱいだった友雅は、急に現実に戻されて、
放心状態になりながら、空いている手で、少々乱暴に永泉のを掴み取った。
しっかりと堅くなっているのも感じられるし、湿度もある。
やはりイケナイのは、技術の問題らしい。
友雅は、自分のと永泉のを別々の手に収め、シュッシュッと音がしそうなくらいの、本格的な愛撫を開始した。

「ああ…っ。やっ、あぁ…っ。」
「気持ち良いでしょう?我慢、なさらないで…。」

中納言にやられていたときとは、明らかに違う永泉のあえぎ声を聞き逃さなかった友雅は、
巧みに指を動かして、永泉の感じる場所を探り当てていく。
とある場所にたどり着いた時、永泉の声のトーンは、一気に上昇し、中心は、限界の大きさに限りなく近づいた。
友雅は、永泉とタイミングを合わせようと、自分のも懸命に育て上げていく。

「ああ――――っ。」
「くぅ…っ。」

弱点を集中的に攻められた永泉は、幾度か友雅の手が往復すると、盛大に液をぶちまけた。
友雅も、続いて自分を解放していた。上がった息を整えながら、友雅は、永泉の顔についている液を、
綺麗に舐め取ってやる。二人分の液のかかった永泉の顔は、苦しい表情と切ない表情と、
解放後の独特の表情が入り混じった、複雑な表情になっていた。
しかし、独特の表情は、天真のみが見たことのある表情だっただけに、
友雅は、開放の余韻とともに、罪悪感も抱かずに入られなかった。

常時が終わってしばらくすると、二人は、のろのろと書庫から這い出て、
いつもより数刻遅れで、各々の仕事場に向かった。
友雅は、勅命で藤姫に用事があったが、永泉の体のことを考えて、永泉を御室寺に送り届けてから、
土御門殿に向かうことにした。自分なりの些細な償いかもしれない、友雅は、
偽善者ぶっている自分を笑いながら、車の用意をさせて、永泉とともに乗り込んだ。
牛車の中では、二人とも口を開かなかった。
永泉から、なぜ自分があのように場所にいたのかを語ってくれたおかげで、
友雅から聞くことは、何も無かった、というのが一番正しいかもしれない。

夕刻になって、気の早い一番星が顔をのぞかせ始めた頃、
友雅は、最近通い始めた女性の元を離れ、自宅へ帰ってきた。依然ならば屋敷に戻ってこないこともしばしばあったが、
今は、帝と分かれてしばらくしてから付き合い始めた男がいる。
八葉になる前から、左大臣がらみの仕事で顔を見たことがあった、左大臣家が所有する武士団の若棟梁。
これが、その男の正体だった。長い髪を後頭部でまとめ、何かの動物の毛皮で作られた射籠手を実につけている。
宴の席でも、よく話に登る、武芸にも学問にも長けた男だった。八葉になってからは、
藤姫への謁見だけでなく、神子の要望などもあって、顔を合わす回数が格段に増え、会話をする機会も出来た。
それからというもの、二人の関係は、一層深まっていった。
運命の日は、初詣で石清水八幡宮に行った時のことだった。行きの道のりは、形式ばった行列などを成していくのだが、
帰り道は、それぞれの女房の家へ挨拶に行く者や、居心地がよくなってしまって、石清水から遅れて帰京する者も居る。
そんな中、さっさと帰ってしまう友雅を心配してついてきたのが、この男・源頼久だった。
どうやら、友雅のことを、文官だと誤解していたらしく、護衛のためについてきたのだとか。
それを機会に、友雅の持ってきた酒を飲み交わしながら、徐々に関係を深めていった。
その時、頼久の齢の程は二十二、友雅は二十八だった。
お互いが八葉となった今、二人だけになる時間も出来て体を重ね、お互いの体の熱さも知った。
境遇から身分から、お互いの思考回路の中まで語り合い、お互いがお互いの知らないところは、
もはや、微塵も無かった。友雅は、永泉と天真が、早く、
自分たちの関係にまで行って欲しいと、帝のためにも、そう願わずにはいられなかった。
自宅に帰り、寝殿へ到着した友雅は、例の人物が階に腰掛けているのを見て、ほっとした。
あまり表情を変えない顔、がっちりとしているが感じやすい身体、代々受け継がれている立派な日本刀。
どの要素も、友雅を魅了するものばかりだった。

「待たせたかな、頼久。」
「友雅殿、お帰りなさいませ。いいものをお持ちしましたよ。ご一緒にいかがですか?」

頼久が掲げて見せたのは、2つの大きな徳利だった。頼久の居る武士団は、左大臣のお抱えの武士団ということもあって、
滝口ほどではないが、ずいぶん良いものを、褒美として仰せつかっているらしく、
その中には、唐や天竺からのものも混じっていて、今日の徳利の中身も、おそらくそうだろう。

「君も、乙なことをしてくれるね。」
「友雅が、どのようなことで喜んでくださるのか、大体見当がついてきましたから。」
「それも、異国のものか?」
「はい。先日、叔父上が左大臣様と狩猟に行かれましたところ、大変良い獲物をしとめられたとかで。
叔父上は、酒はお飲みになりませんから、私に、と。」

友雅は、満足そうに頷くと、通りすがりの女房に、酒と夕餉の準備を言付けた。
さすがに、頼久の隣に腰を下ろすことは体格的に出来ないので、友雅は、頼久を寝殿へ上げると、
目の前で私服に着替えて、頼久の恋人としての橘友雅へと、身も心も切り替えた。
頼久も、いつものことだ、と躊躇もせず、自分も、刀を置いて射籠手を脱いだ。
二人とも、小袖と袴という簡単な格好になると、早速飲み会を開始した。
頼久は、周囲の貴族や公家たちから見れば、何を考えているか理解しがたいところもあるらしく、
話しかける人物も少ない。だが、武士団の仲間や八葉たちは、気軽に話しかけては、いい相談相手になっている。
それは、友雅も同じらしく、己の出世のことや財産にしか興味のない公達と話すよりは、
注釈を加えながら話す頼久のほうが、よっぽど話しやすかった。
もともと、海の向こうの兵法や、普通の庶民や武士では教わることの出来ないことまで学び取ってしまうほどの頼久なので、
それぐらいのことは、造作の無いことでもあった。
大体、友雅の話は、八葉の中では自分しか見ることの出来ない、宮中での話がメインだった。
しかし、愚痴ではない友雅の話を、頼久は好んでいたので、杯を傾けながら、静かに頷いては疑問に思ったことを聞き返す。
そんな規則的で、ある意味つまらない時間が流れていく。
大きな徳利が空っぽになったとき、空の高いところを満月が行き過ぎてしまいそうなとき、二人は、寝殿の奥へと入った。
何度同じ夜を越えただろうか。頼久は、友雅が要求していることを本能のように感じ取ると、いつもの手つきで、
自分の纏っている物を床に全て落としていった。友雅も、頼久に見せ付けるように、全て床へ逃がした。
すでに準備の整っている張台の中へ入った友雅は、几帳や簾で部屋を覆い隠している頼久を待った。
裸になる前に、そういうことをすればいいのに。
友雅は、いつも不思議に思っていたが、尋ねるのも面倒に感じていたので、あえて聞かなかった。
二人だけの秘密の空間となった張台の中は、漆黒が支配していて、その中に、友雅の白い肌が浮かぶ。
掛け布団の上に横になった友雅のきれいなうなじに静かに口付けた頼久は、あらわになっている別の部分を、順番になで上げていく。
友雅も、それに答えるため、頼久の頭を抱え込んだり、自分から足を広げたり、
自然にこぼれてくる吐息や喘ぎを抑えたりせず、あるがままの飾らない己を曝け出す。

「誰と付き合うときも、時間は有限だと割り切って付き合っているつもりなのだが、
君の時は違う…。私達は、恋愛を司る神に魅入られてしまったのかもしれないね。」
「私も、友雅殿のような方と、体を重ねるなど、夢にも思っていませんでした。」
「…触れて、見て、味わって、感想はあるかな?」
「…身も心も、蕩けそうなほどに熱い方だと、わかりました。そして、独占欲も御強い…。」
「君の学習能力の高さには、本当に驚かされるよ。」

他愛も無い会話をしながらも、頼久の手が友雅の胸の飾りを弄んでいたおかげで、そこは、すでに実を結んで、
次に来るだろう強い刺激を待ち望んでいた。指で触れていないほうの胸には、頼久の髪がかかり、同じく堅くなっていた。

「私がどういう常態化、そして、何を待ち望んでいるか、敏感な君になら、
理解できるだろう?そのとおりのことを、私の体に施してくれないか?」
「…そのようにお急ぎにならなくても、私は、夜の見回りもありませんから、
明日の神子殿との謁見まで、ずっとそばに居させていただくつもりです。それに、ここが、手招きしていますから。」

頼久は、友雅が自ら広げた脚の間にあるところを、視線で育っていくのを確認すると、
自分の行為に感じてくれていることを安心して、そっと、指で触れてみた。頼久の知る限界の様で、
後もう一歩のところまで成長した友雅の中心は、湿気を伴っていて、形も硬さに見合った形へと変形済みだった。
軽く触れて、透明な液を全体に塗りこめているだけなのに、
友雅の腰が、物欲しそうに揺れ動いて、頼久に、更なる刺激を求めてくる。
友雅の腰は、衣越しではわからないが、乗馬の経験も豊富で、武官としての経験も長いせいで、かなりしっかりとしている。
端麗な容姿に加えて、性能のよい身体、惜しげもなく発揮される甘い囁き、殿上人という位。
どれを取り上げても女の喜ぶ要素ばかりだった。
しかし、頼久は、なぜ友雅に惚れ込んだのか、未だによくわからないことばかりであった。
友雅と出会う以前から、女性との付き合いはそこそこあった。付き合いといっても、都の内外を問わない、
どちらかと言うと語らいや井戸端会議に近い、和気藹々としたものばかりで、
体のことなど、微塵も思いつかなかった。なのにどうして…?

「…頼久?」

そんなことを考えていると、舌の動きが減速していくのに気づいた友雅が、心配そうに、自分の脚の間に目を向ける。
ゆっくりと体を起こすと、自分の中心を固定している頼久の手に自分の手を重ねながら、優しく問う。

「すみません…。」
「私の液は、そんなにおいしくないかな?昨晩は、あんなものまで飲み込んでくれたのに。」
「いえ、そういうわけでは…。」
「いいよ、無理しないで。こういうことは、無理にしてもつまらないから。」

自分の敏感な根元に置いていた手を、頼久の手を払いのけるように、先端から根元へとそっと何度も這わせる。
それだけで、幾筋もの液が流れ出てくる。

「友雅殿!?」
「行っただろう?こんな時は、無理をしないほうがいいって。
だが、私は抑えられそうにないから、自分でイクことにするよ…。」

頼久は、友雅の発言を否定するでもなく肯定するでもなく、膝立ちになって自分のものを、友雅の空いているほうの手に握らせた。

「熱いよ、君のも…。」
「私も、あなたと同じ気持ちなのです。…今すぐ出してしまいたい。かまいませんか?」

友雅が静かに頷くと、頼久は、友雅のを再び手中に収め、巧みな愛撫を始めた。
友雅もまた、頼久に同じようにし始める。頼久が早く絶頂へ導かせようとあせっているせいで、
力のこもってしまう愛撫は、友雅にとっては新たな快感の発見だった。
いつもの優しい、なでるような刺激とは違って、野性的な感じがする。
膝立ちになっている腰が、かすかに震えだすと、友雅は苦しそうな表情をあらわにし始め、
頼久はその様子を見逃すことなく、横目でチェックする。

「友雅殿、私に良い案がございます。友雅殿の大事なところを、私に託してはいただけませんか?」
「…何を思いついたのかわからないが。かまわないよ。君の思うようにしてみなさい。」

頼久は、友雅から許可が下りると、友雅を押し倒して顔を跨ぐ。
そして、そのまま脚の間に顔を埋めた。頼久が友雅のを口に含むのと同じように、
友雅も頼久のを口に含み、舌で丹念に刺激し始めた。
お互いが、お互いに感じることで、さらに舌が活性化され、絶頂への距離が縮まる。
幾分も刺激しないうちに、ほとんど同時に二人は、達してしまった。




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