■Shopping of Adult 2


「学芸館に来るのは久し振りです。前に来たのは、例のお茶会の時やったかなあ。」
「そうですねえ。私も、最近足を運んでいませんでした。なかなか直接出向く機会がないと言うか。」

他愛もない会話を交わしながら、例の木箱をセイランの私室の前まで持ってきた。しかし、ノックしても返事はない。

「出かけてはるんですかねえ。」
「きっと、休んでいるのですよ。」
「こんな時間に、ですか?昼間見た時はそんなに具合悪いそうには見えへんかったのに。」
「そうではありません。芸術家の中には夜を中心に活動する人も少なくありません。
夜のほうが集中できるそうですよ?セイランが以前、そんなようなことを行っていたように思います。」
「なるほどなあ。」
「それでは、私は食堂に行ってきますね?ティムカが待っていてはいけませんので。」
「はい。ありがとうございました、リュミエール様。」

リュミエールが1Fの食堂に向かって独りになったチャーリーは、そっとセイランの部屋の扉を開けてみた。
静まり返って薄暗いセイランの部屋は、油絵の具のにおいと沙ナツメの香りの混じった、
独特の香りがしている。その一角から、ひと際明るい人口の光がこぼれてきている。
木箱を適当なところに置くと、足元に転がっている絵の具やパレットに気をつけながら、
光のあふれるところの前に立った。それは、シャワールームで、すりガラスの向こうからは止め処なく水音がしている。

「セイランさん。チャーリーですけど、ご注文の品をお届けにあがりました。」
「ああ。もう来てくれたの?早くに届けに来てもらうのは嬉しいんだけど勝手に人の部屋に侵入するのは、頂けないね。」
「一応ノックもしたんですけど、お休みなんかも知らんと思って。
廊下にそのまま置いといても邪魔になるから、部屋の中に入れさせてもらったんですよ。」
「そう。それはありがとう。じゃあ、お礼と言っては何だけど、今日は僕の部屋に泊まって行ったら?」



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