■Shopping of Adult 3


「そこまで気ぃ遣わんといてください。俺のおるホテルは、意外と近いんですよ?」
「僕なりの礼のつもりなんだけど。君が、人の礼を断る無礼者だったとはね。
それを僕が言いふらして守護聖様の、ジュリアス様のお耳に入ったら、君は聖地から永久に追放されてしまうよ?

」 脅迫までして俺を引き止めたいんか。あきらめたチャーリーは、降参のポーズをして
アトリエ調の部屋にどっしりと構えるベッドに腰を下ろした。セイランなら2,3人くらいは余裕で眠れそうなベッドは、
シャンパンブルーのすっきりとしたデザインで、セイランには似合うだろうけどチャーリーには、少し堅苦しい感じがする。
チャーリーが、しばらくベッドでボーっとしているとシャワールームからセイランが出てきた。
ベッドと同じ淡い水色のバスローブで出てきたセイランは、まるで違う人物に見えるし、
男にあるまじき色気を帯びているようにも見える。目の行き場に戸惑ったチャーリーは、落ち着かない様子で髪を解いて、
注文の品を部屋の中央に持ってきて、依頼主の目の前に置いた。

「これ、ご注文の品です。ちゃんと届けましたで?」
「ありがとう。んじゃ、これから御礼をしたいから、君もシャワーを浴びてくるといいよ。」
「おおきに。」

自分が出てきたばかりの場所に姿を消した人物にため息をつきながら、セイランはゆっくりと思考をめぐらせていた。
どんなふうに、初心者の男に魅力的な自分を抱かせようか。淫らな妄想を抱きながら、
注文の品を確認して、足元の絵の具のチューブやパレットや絵筆を適当に片付ける。
聖地に来て誰にも抱かせていない体は、妄想にあわせて少しずつ反応を見せてきていて
早く抱かれたいと焦りの色を見せ始めてくる。
妄想に合わせて、遠くで聞こえるシャワーの水音も拍車をかけてきて、自制心をはがれていく。

「終わりましたで。」

書きかけの、セイランにしては珍しい風景画を眺めていると、チャーリーが声を掛けてきた。
なんでもないことに体がかすかに跳ねる。
セイランは、なんでもない風に振り向くと、果実酒を入れたグラスをチャーリーに手渡した。

「これ、この前マルセル様から頂いた貴重なものなんだ。なんか、飲みたくなってさ。君も、飲んでごらんよ。」
「そんなええもん、俺にはもったいないと思うんですけど、かまわんのですか?」
「君に飲ませたくないなら、最初から開封したりしないよ。」

しばらく芳醇な香りのするさくらんぼの果実酒を傾けながら会話をしていたけれど、
ほろ酔い気分になってきた頃、セイランが実行に移した。
実のところ、セイランが限界に来ていたようだ。

「こんなもので、満足しないでね。これからがお支払い、だから。」

よく意味を汲み取れないと言う表情をしているチャーリーの前で、セイランは大胆にバスローブを脱いで、
自分の体を見せつけた。数々の名作を生み出しているセイランの体もまた…。
目の前にいるチャーリーの顔が、アルコールを吹き飛ばす勢いで赤く染まっていく。

「お会計、お願いできるよね?」

一瞬と惑っていてチャーリーは、すぐに意味を理解するとグラスを二つ、サイドテーブルのスケッチブックの上においた。
陶器のように白い肌、筋肉とは無縁の肉体、女性と見間違うばかりの長くてすらっとした手足。
それだけを見れば女性に見えてしまうのに、平らな胸や、またにぶらさっっているものが、
目の前の芸術品を男であると主張してくる。
チャーリーは、目を背けずに目の前の芸術品に釘付けになってしまっていた。
男の体なんて、個人差はあるけれど、大まかな構造は自分と変わらないから、
珍しくともなんとも思わないはずなのに、なぜか凝視してしまう。自分と肌の色が違うから?
身長も体格も小柄ではあるけれどバランスが取れている理想の体型だから?
どの理由も、今の状況には当てはまらない。

「そんなに、僕の体を気に入ってくれたの?」
「…男の体に釘付けになるなんて、俺、どうかしてる。」
「きれいなモノをずっと眺めていたいと言う気持ちは、老若男女一緒だと僕は思うよ。さあ、君の体も見せて?」

チャーリーは、新たに抱えた劣等感のおかげで服を脱ぐのをためらっていた。
オスカーやヴィクトールくらい立派に筋肉がついているわけでもないし、
オリヴィエやリュミエールのようにしなやかなわけでもない。
セイランは、自分の体を見て馬鹿にするだろう。

「どうしたの?恥ずかしい?」
「いや…。」

男同士なんやから、気後れすることあらへん!
チャーリーの中にある戦乙女がそうささやいたように思ってチャーリーは、思い切って自分も裸になった。
秋口の風が肌にまとわりついてきて、にわかに鳥肌が立つ。

「へえ…。思っていたより、いい体をしてるね。」
「…そんな、まじまじと見るようなもんとちゃいますで?」

堪え難い羞恥心に、声も体も震えだしてくる。

「君も、僕の体を観察しただろう?おアイコだよ。」
「俺、男を抱いたことなんてないですよ?だから、うまいこと出来るか…。」




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