■淡い愛と熱い恋 10


「友雅殿!?もしや…っ!」
「…大丈夫ですよ。中に入るのは、天真の役目ですよ。」
「でも!」
「俺が入るのなんて、日常茶飯事だろ?」
「ですが、後ろからは…。」

ただの恐怖の対象となっている後ろからの挿入を最愛の天真にも許していない永泉は
、片腕で体を支えながら、二人の男に心配そうな視線を投げる。期待と恐怖が入り混じった独特の視線。
天真と行為をする際にしか用いない瞳に、友雅ははっとした。どこか、行為を望んでくる帝の瞳に似ている。
消して、目鼻立ちだとかそういったものではない何かが、帝のそれと重なる。
友雅は、そんなことを思いながら、淫猥な音を立てて指を引き抜くと、
天真と位置を入れ替えて脇息(きょうそく)を引き寄せた。

「大丈夫ですよ。入るのが天真であることは明らかです。」
「顔が見えないと、怖いのです…。顔が分からないと、どなたが中に居られるのか分かりませんから。」
「なら、全て入る前に幾度か天真と口付けされることをお勧めします。
それなら顔が見えますから、入っているものが天真であると確信できますよ。」

友雅の助言にうなずいた永泉は、潔く四つん這いになって天真がくる時を静かに待つ。
しかし、当の天真は、結合部に指を這わせるだけで中へ入ろうとしない。
もどかしくなってきた永泉が、心配そうに振り返って、天真を視線で促し始める。
それでも、天真は何もアクションを起こさない。

「天真殿?」
「…俺、やっぱお前を後ろから攻めるなんて、出来ねえよ。お前が怖がってることを無理にしたくない。
それに、無理にやってもお前が苦しむだけだろ?
俺は、苦しんでるお前を見たくない。苦しんでるお前の声を聞きたくない。」

結合部を行き来していた指を離すと、その手で柔らかな双丘をやさしくなで上げていく。

「天真殿。…後ろから入ってください。」
「永泉!?」
「始めて天真殿を受け入れました折、この行為に対する恐怖は消え、とろけるような快感を覚えました。
今も、その時のように、後ろからの挿入に対する恐怖を、天真殿の手で取り除いてください。そして、快感に変えてください。」

戸惑っている天真を落ち着かせるため、永泉は、自らの双丘の片側を広げて例の場所へ天真を導こうと試みた。
後ろからの恐怖から逃れるのではなく、それを克服しようと努力する永泉に心を打たれたのか、
天真は、広げられたところに軽く口付けるとそっと自分のをあてがった。

「ゆっくり入れるからな。…怖くないからな。」

永泉を落ち着かせるためか自分の理性に言い聞かせるためかは分からない言の葉をつむいだ天真は、
ゆっくりと少しずつ自身を埋めていく。やはり、いつものようにすんなり受け入れてくれず、途中で動きが静止する。

「あ…っ、んん…。」
「痛いか?大丈夫だからな。」

永泉の締め付けが強くなったら、優しく唇を合わせて、中にいるのが自分であることを知らせるとともに締め付けを弱くし、
永泉に安堵のため息もつかせる。
おかげで、それを幾度か繰り返しただけで、天真の全てを飲み込んでくれた。

「も、う…。動い、て…、天真殿…っ!」

初めて天真を後ろから受け入れて限界に到達している永泉が、切なげに訴えてくる。
目の前で脇息に体を預けてのんびりと見学している友雅がいることもかまわずに、
苦しそうで会館に満ちた表情をありありと刻み込む。

「良い表情をなさる…。」

なんともいえない表情を突きつけられた友雅が永泉をなだめるように、頭をなでながらそんな言葉を口にする。
それに答えるように、永泉の顔が切なそうに動く。
一度力を失っていた友雅の分身は再び力を取り戻し、躍動し始める。
しかし、そんなことは永泉の眼中にはなく、
ただ後ろから与えられる強すぎる快感に身悶えするのが精一杯のようだ。




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