■INTO SNOW 2
バイセクシャル。そう。こいつは男でも女でも抱くし抱かれる。
自身の目で確かめたわけじゃないから確信はできないが、念には念を
入れておくに越したことは無い。
「なぁ、オスカー。」
俺が、シャワーの少しさびついたコックに手をやった時、トビラの方から声が聞こえた。
「なんだ?」
「お前らと一緒に行動するようになってから、俺が男に抱かれてないんだ。
だからオスカー、俺を抱け。」
「何!?」
思わず力が入って、握っていたコックをもぎ取ってしまったかと
ひやひやしながら声のしたトビラを見た。
薄く黄ばんだすりガラスの向こうに、ベージュのバスローブが
押し付けられてるのがわかる。
こいつ本気か? 俺はどうすれば・・・・。
「男を抱くのも女を抱くのも、要領は一緒さ。あんたならできるはずだ。」
「悪いが、俺が抱くのは愛するレディだけだ。それも俺自身の選び出した
心身共に美しいね。」
「けっこう細いんだなぁ。」,br> 「当然だろう?俺達は執務以外の理由で整地や飛行都市から出ることなんて
お前が思っているより少ないし難しいんだ。」
やばい。こいつは本気だ。どうする炎の守護聖?どうするオスカー!?
「そんなにつべこべ気にしてると、理想の女にも逃げられちまうぞ?」
運命の瞬間(とき)は、思ったより早く来た。
俺がそのままシャワーのコックをひねろうとした時、ヤツが体をすべりこませてきた。
しかも、男を抱いたことなんてわからない俺にでもわかるくらいのバリバリの臨戦体制で。
「待てっ!それ以上俺に近づいたら、ジュリアス様にお前との同行を
断る許可を出していただくことになるかもしれないぞ!?」
「かまわんさ。その許可とやらがおりる前に、お前に抱かれれば俺の勝ちだ、ちがうか?」
「うっ・・・・・。」
ここで言葉をつまらせれば負けだとわかっている。が、コレ以上抵抗したところで
状況が良い方向へころぶとは思えない。
結局、俺はこいつに上手く言いくるめられたも同然か・・・・。くそっ。
「さぁ、何か言いかえしてこないのか?」
「もう降参だよ。お前には勝てないさ。」
「じゃあ、俺を抱いてくれるな?」
「・・・・・お前が満足するようにな。」
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