■Pure 3


その2日後、教官さんたちは、それぞれの惑星へ戻って行っちゃった。
ヴィクトールさんは王立派遣軍に、セイランさんは創作活動に、ティムカさんは王宮の生活に
それぞれ戻るんだって。ティムカさんは、王様になるためにいろんなことを
勉強出来たって、嬉しそうだったけど、シャトルに乗る前、すごく泣いてた。
二度と会えなくなるかもしれないからって。メルは惑星同士の時差があんまりないから
会えるけど、マルセル様とは・・・。
そう思ったら、メルも悲しくなっちゃって、マルセル様と3人でたくさん泣いた。
守護聖様は、二度と会うことのない人達との別れを繰り返して生きてる。
神様なんかじゃないんだよ。守護聖様は。
きっと、そんなつらいことを大切に抱きしめて生きてる強い人達なんだよ。

そのまた3日後、守護聖様方はアンジェリークたちの新宇宙の主星へ行かれた。
期間は一週間。リモージュ陛下の宇宙では3日にあたる時間をそこで過ごすんだって。
メルは、早くに飛行都市を離れなくちゃいけない理由もなかったから、
もう少しいることにしたんだけど、やっぱり守護聖様のいない飛行都市はつまらない。

「どないしたんや、メルちゃん?えらい複雑な顔して。」

おやつを買いに商人さんのお店を見に行ったんだけど、やっぱり楽しくて
晴れた気持ちにはなれないよ。何だろう、この胸のモヤモヤは・・・。

「胸の奥に、モヤモヤしたのがあってつらいの・・・。病気ではないと思うんだけど・・・。」

お店の棚に並んでるきれいなガラスの置物が、今日はあんまりきれいに見えないよ。
どうして・・・・?何か、いけない病気かなあ・・・?

「メルちゃんも年頃やなぁ。・・・たぶん、それ恋の病ってやつとちゃうやろか?」
「恋の、病?」
「そや。誰かに心奪われて眠られへんとか、気付いたら好きな人のことをずっと考えて
 いるとか、そんなんないやろか?」

メル、たくさんの人の心を結びつけてきた。
幸せそうに笑って帰っていく人見てきたけどメル自身は・・・。
占い師は自分の将来を見ちゃいけないから、メルが誰を好きに
なってるかなんてわからないけど、ちょっと思い当たる人が1人いる。
どうして、男の人が浮かんじゃうんだろう。男の子は女の子を好きになるのが当然なのに。

「ねぇ、男性を好きになってるかもしれないって言ったら、商人さん、メルのこと
 変な人だって思うよね・・・。」
「・・・メルちゃん。」
「メルね、ずっと気になってる人がいるの。男の人なの。いつも難しい話をして
 遅くまでお仕事してて、メルとつりあわないのはわかってる。けどずっと
 頭の片隅にいる人なの。」
「・・・メルちゃん。ええか?俺が思うにな、男が男を好きになんのも、男が女を好きになんのも
 対象が違うだけで、愛する気持ちは一緒やと思うで。
 俺は男を恋愛対象としてみたことないから分からんけど、そんだ想ってるんやったら
 想われてるほうも幸せと想うで。」

商人さんは、いつもメルやマルセル様の相談にのってくれるから頼れるの。
でも商人さんを好きっていう気持ちと、あの人を好きっていう気持ちは違うの。どうして・・・?

「その相手が守護聖様やないなら、告白することを俺は推めるで。」
「・・・うん。ありがとう、商人さん。」

告白する、なんて・・・。メル、こんなにドキドキするの初めてだ。もし片想いだったらどうしよう。
あの人は恋愛沙汰なんて受け入れないかもしれない。
メルみたいな子供のお遊びを受け入れてくれるのかなぁ・・・。



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