■Pure 4


夕食が済んで、お部屋から王立研究院のほうを見てみるの。小高い丘の上にある王立研究所は
飛空都市のどこからでも見える。占いの館から王立研究院は一番離れているけど、うっすらと
灯りが見える。
どうしよう。
あの人は、間違いなくあそこにいるのは、わかっている。でも・・・・。

「あの・・・。」
「あ、妖精さん・・・。」

踏んづけなくてよかった。お手紙を持ってきてくれた妖精さんは、メルのことを
心配そうに見ながら、お手紙を渡してどこかへ行っちゃった。本当はアンジェリーク達が
女王候補の時に使ってた妖精さんなんだけど、今は守護聖様と王立研究院の人達の
情報伝達手段になってる。
王立研究院の人でメルに用事のある人って誰なんだろう・・・。

「商人さん?どうして・・・?」

王立研究院からだと思ったのに、商人さんからお手紙だ。どうしてだろう。
でも、お手紙を送ってくるなんて、珍しい。
お手紙の内容は、メルのこと心配してくれるっていう内容だった。
深く悩むのも大事だけど、それを実行に移すのも大事だって。
どうしよう。いまから王立研究院に行ったら、迷惑かな・・・。
でも、告白するなら、守護聖様と対面する時間が抜けて少しでも余裕のある時に
思い切ってやらないと・・・。

王立研究院まで歩いて30分ぐらいかかったから、少し疲れたけど本当に
頑張らないといけないのはこれからなんだから、気持ちを入れ替えないと。

「メルさん?珍しいね、こんな時間にいらっしゃるなんて。」

顔見知りの研究員さんに声をかけられて、ちょっとびっくりしちゃった。
だって、メルが何を考えているか気付かれちゃったのかと思った。
でも、そんなことなかった。メルやっぱり変だ。自分の頭の中の声が大き過ぎて、
王立研究院の様子がちっとも見えないよ。いつもなら、この人を見かけると自分から声をかけるのに。

「うん。ちょっと、エルンストさんにハーブティを持ってきたんだけど・・・。」
「なるほど、主任は、まだ報務室で新宇宙のことを調べておられるから、気分転換でもさせてあげて。」

すごく近いところでおしゃべりしてるのに、リモージュ陛下とお話してるみたい。
頭の中の声が、さっきより大きくなってきてる。早くエルンストさんに会わないと!



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