■Pure 5


王立研究院は、宮殿と違ってすごくメタリックだから、足が冷たい。
サンダルをはいてくるべきだったかな。こんなので行ったら、エルンストさんを心配させちゃうかな。
メル、エルンストさんを困らしたいわけじゃないのに・・・。
エルンストさんのお仕事の部屋は、一番奥にあるから最初は迷ったけど、今は自分の家みたいに
スムーズに行ける。だから、あっという間に着いちゃった。

「エルンストさん!」

部屋の扉の傍についているインターホンから声をかけてみる。
エルンストさんを訪ねる時はいつもこうやって扉のロックを外すの。エルンストさんが内側から開けてくれる
時もあるけど、手が離せない時が多いから、こういったものが必要になってくるみたい。
占いの館なんか、布を何重にも垂らしているだけなのに。

「メル!?なぜ、このような時間に私の所へ?。」
「あのね、エルンストさんに頼まれてた、目の覚めるハーブティを持ってきたの。
 ついでにクッキーも。」
「わざわざすみません。さぁ、お入りなさい。」

インターホンを通して話すエルンストさんもやっぱり優しくてカッコイイ。
メル、この人を好きになってよかったかもしれない。

「遅い時間に来てごめんなさい。少し考え事をしてたから。」
「考え事、ですか・・・。もし独りで考え込んでも答えが出ないようなら私に相談しなさい。
 そうでないなら、自分で答えを見つけようと努力なさい。」
「うん・・・。ありがとうエルンストさん。」
エルンストさんは、商人さんよりも格式張ったしゃべり方をするから近寄り難いって
ランディ様やゼフィル様はおっしゃるけど、アドバイスしてくれる内容は一緒なんだよね。
メルは、他人のことを親身に、まるで自分のことのように考えてくれる人が周りにたくさんいて
幸せだと思っているよ。もちろん、エルンストさんへの特別な気持ちは変わらないけど。



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